1. プログラミング言語の本質
プログラミング言語とは、本来「人間の意図をコンピュータに伝えるためのルール」です。
C言語でもPythonでも、最終的には命令(指示)を構造化して記述することで、コンピュータがそれを解釈し、実行してきました。
その歴史は、パンチカードから始まり、高級言語、スクリプト言語、そしてノーコードへと進化してきました。
今、その延長線上に新たな形が見え始めています。
2. 「命令の内容を記述するJSON」という発想
JSON(JavaScript Object Notation)は、データ構造を簡潔に表すフォーマットです。
たとえば「メールを送る」という行為も、JSONにすればこうなります。
{
“intent”: “sendEmail”,
“parameters”: {
“to”: “user@example.com”,
“subject”: “お知らせ”,
“body”: “いつもご利用ありがとうございます。”
}
}
この書き方は、どのプログラミング言語にも依存しません。
つまり「何をするか」「どんな条件でやるか」を、世界共通の構造で記述できるのです。
3. 「柔軟に命令を理解するAI」の登場
従来のプログラムは、記述通りにしか動きませんでした。
しかし現代のAIは、自然言語もJSONも理解し、不足している情報を文脈から補完し、必要に応じて曖昧さを解消します。
たとえば、先ほどのメール送信命令で to が指定されていなければ、AIは会話履歴や社内名簿を参照して補完できるかもしれません。
これは、旧来の「コンパイルエラーで止まる世界」とは大きく違います。
4. AI=インタプリタのような存在
今までは、人間がプログラムを書き、コンパイラやインタプリタが機械語に変換していました。
これからは、人間が命令の骨格をJSONで書き、AIがそれを解釈して最適な処理手順に変換する時代になるかもしれません。
AIは単なる通訳ではなく、
- 不足情報の推測
- 最適なAPIやライブラリの選択
- 実行計画の最適化
まで行える「知的なインタプリタ」です。
5. プログラマーの役割が変わる
この流れが進めば、プログラマーは「細かいコードを書く人」から「AIが解釈しやすい命令を設計する人」へと役割が変わります。
そのスキルは、自然言語プロンプトの延長線にありますが、JSONのような構造化データを使えばさらに強力になります。
構造化された命令は、再利用・自動化・他AIとの共有が容易になるからです。
6. 新しいプログラム言語としてのAI
こうして見ると、
- 命令の内容をJSONで記述する
- 柔軟に命令を理解・実行するAIがいる
という組み合わせは、まるで新しいプログラミング言語です。
しかもその言語は、厳密な構文エラーに縛られることなく、人間の意図を反映しやすい形で進化しています。
7. これからの可能性
近い将来、アプリや業務システムの多くは「AI命令ファイル」で動くかもしれません。
開発者だけでなく、一般のビジネスパーソンも、自分の業務フローをJSONで書き、AIに実行させる時代が来るでしょう。
そしてこの流れは、プログラミング教育の敷居を下げる一方で、「命令設計力」や「情報整理力」の重要性を高めます。
まとめ
「命令の内容を記述するJSON」と「柔軟に命令を理解するAI」。
この二つの組み合わせは、従来のプログラミング言語を置き換える可能性を秘めています。
AIが新時代のプログラム言語になる日は、もう遠くないのかもしれません。
今からできることは、AIに伝わる命令の書き方を身につけることです。